気づけば少し違う場所に立っていた

買い物帰りの何気ない移動から、少しずつ日常がずれていく感覚が、とても自然に描かれていました。
特別な出来事が起きているはずなのに、語り手の視線は終始落ち着いていて、その淡々さが逆に不安を呼びます。

駅に入ってからの静けさや、駅員とのやり取りもどこか噛み合わず、夢と現実の境目を踏み越えてしまったような感触が残ります。

読み終えたあと、普段何気なく使っている場所が、少しだけ違って見える。
そんな静かな後味のある短編でした。