概要
あの日止まった君の記憶の中で僕らは出会い、僕の存在を記録し始めた。
〔 あらすじ 〕
近未来、人類はMNE(Memory Neural Extraction)と呼ばれる技術により人類の記憶はデジタル化され改変不可の標本としてデーターベースに保存されるようになっていた。死者の記憶も時間軸に沿った脳内の電気信号パターンとして忠実に再現され家族や研究者が『追体験』できる時代。
時任璃空はそんなデジタル記憶標本を管理する『記憶標本館』の管理人であった。日々膨大な過去のデータと向き合う彼には誰にも言えない秘密がある。特定の女性の記憶だけを繰り返し閲覧していることだった。
ある日、璃空はその女性————数年前に事故死した久遠悠里の記憶標本に決定的な異常を発見する。
時間軸に沿って忠実に再現されるはずの彼女の記憶の中で、存在しないはずの人物が悠里と交流して