記憶の海に潜む「僕」は誰だった?

時を越えて――彼女は、そこに「僕」を見ていた。

かつての記憶が、誰かの人生を甦らせる時代。
「記憶標本館」で静かに働く青年・時任璃空は、
ふと目に留まった一つの記憶に心を奪われる。
『最後の夏休み』と題された、若い女性の記憶。
けれどそこに、映っていたのは「存在するはずのない男」。
それは、自分自身の姿だった。

改ざん不能のはずの記憶データに、何故「自分」がいるのか?
揺らぎ出す自己。軋む常識。過去と現在の境界線が滲む中、
彼はその記憶に幾度も潜り、真実に手を伸ばしてゆく。

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