ちょっとズレてて背伸びしたい彼女が無茶ぶりを投げてきて、それを生真面目なベテランマスターが「お客様だから」と律儀に受け止めてしまう。
決定的に噛み合っていないのに、それがずっと面白い二人の掛け合いです。
マスターの「クールに接客したい」表の顔と、心の中のツッコミとのギャップが本当に楽しくて大好きです。
バーという静かな大人の空間だからこそ、真剣に(?)ふざけてくる彼女の存在がより際立って、じわじわ笑ってしまいます。
しかも毎回、マスターの締めが最高でテンポも良く、気づけば一気読みしていました。
ただ、ニヤニヤが止まらないので人前で読むのは少し危険です♪
お客様、当店へ来られるのは初めてではありませんか?
いえいえ、それは構わないのです。
「いつもの」、と言われるのであれば、その体でお出しいたしますので。
最近、何故かそういったお客様が多いのですよ。
最初は私も困惑したりもしたのですが、彼女のお陰で、今ではすっかり慣れてしまいました。
彼女って誰か、ですか?
自分以外にもそんな客がいるならどんな人なのか聞いてみたいと?
そうですね。
今晩は他にお客様もいらっしゃいませんので、ゆっくりと話し相手になっていただけますか?
カクテルでも飲みながら、くすりと笑っていただければ幸いです。
どうぞ、「いつもの」カクテル。
ソルティドッグです。
何故このカクテルを選んだか。
気になるのであれば、是非とも本編をお楽しみくださいませ……。
ゲストの女性は、バーで様々な役を演じる。
でも、ちょっとしたことで素が出てしまって、演じきれないところが可愛いです。
そしてバーのマスターも、マスターとしての姿を演じている。
でも、最後に盛大に塩をまいてしまうところとか、これまた演じ切れていないところが見えて、マスターもまた可愛い。
素が出て可愛いと思えるのが良いですよね。
私もこの作品を読みながら『この世は舞台、人はみな役者』なん~て言って、シェイクスピア劇マニアを気取ってみようかな。
でもすぐに素が出て・・・こちらは恥ずかしいだけの状態になると思います。
めちゃ愉しい短編物語です。とにかく一度お読みください。