第5話 自己の輪郭
目の前の円柱カプセルの中では、特殊スキャナーで遺した記憶データーを抽出させた情報を基にホログラム技術により
「
彼を呼ぶ声が聞こえてきた。鼓膜ではなく意識に直接響くような透き通る声に
「……
透明な円柱のカプセル中で光の粒子に揺れながら
「あなたはいつも、私を見守ってくれているのね」
「どうして……会話が成り立つんだ?君はもうこの世にはいないはず」
動揺を隠せない
「ここにいる私は、ただの記憶ではないの。あなたがくれた時間、言葉、想い……それが全部この中で生きているの」
彼女の指が円柱カプセルの内側にそっと触れるように動く。透明な壁越し、
二人の指先は透明な壁一枚を隔てて重なる。隔たりから伝わる冷たさが、この奇跡的な状況を現実ではないと
「
「ここは記憶標本館。私の存在はあなたの記憶とデジタルアーカイブの境界線にあるの。だから———」
彼女はそっと目を開け
「もし、あなたが誰かの記憶に刻まれた存在で、保存されたデジタルデータの一部だとしたら?」
その言葉に
「僕の人生が誰かの記憶?そんな馬鹿な!」
その瞬間、展示室の青白い照明が一斉に
頭の中に浮かんだ幼い日の情景、学校で笑いあった友人たち、そして家族の顔。すべての記憶が古びたフィルムの傷のようにざらつき輪郭を失っていく中、
「
(僕の人生が途中で僕自身の記憶データとなっているなんてありえない)
展示ホールの空気が急激に冷え込み、足元が大理石の床ではなく深い闇へと沈んでいくような恐ろしい感覚に襲われながらも、
「
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