未練ある相手の顔をしたバリスタの淹れる一杯に、どんな味わいを感じますか
- ★★★ Excellent!!!
ふらっと入ったカフェのバリスタが、別れた恋人に、亡くした息子に、あるいは密かに思いを寄せていた相手にそっくりだったら、あなたはどうしますか?
本作は、主人公である女子大生・愛佳が、『呪いのバリスタ』と呼ばれる青年・悠介と出会うところから幕を開けます。
『呪い』のせいで、見知らぬ誰かの未練に触れることの多い悠介。
それはカフェのお客さんに限らず、バリスタコンクールの審査員や、自身の家族関係にまで影を落としてきました。
誰かの代わりにばかりされてきた悠介ですが、愛佳は『呪い』にかからず、彼を彼自身として見つめます。
一つ一つの『呪い』のエピソードは、愛佳の存在を通すことで客観視され、柔らかに、鮮やかに紐解かれていきます。
時に甘く、時に苦く、人生の複雑な味わいを映すコーヒーのように、心に沁みる読み口が絶品です。
最初は自分に自信のなかった愛佳は、悠介に寄り添うことでしなやかな強さを身に付けていきます。
本編最終話で感じた彼女の成長が、とても印象的でした。
優しく丁寧な筆致で綴られる物語がたいへん心地よかったです。
幅広くおすすめしたい、深みのある作品です!