古き良き時代、昭和でデカとして生きる
- ★★★ Excellent!!!
平成生まれの作者が昭和愛を込めて書いた昭和の刑事モノ。
昭和の刑事モノといえば、絶対忘れられないのはもちろんテレビドラマ“太陽にほえろ”だろう。
ジーパン、テキサス、山さん、デンカ‥‥このドラマから、刑事たちが仲間をニックネームで呼び合うネタが数々のコントで取り入れられた。ボスがブラインドを指で押し下げ外を眺めるシーンも。
この小説の主人公は、普通のOLが現代からタイムスリップして昭和の長身のデカとして生きる羽目になる。ニックネームはチノパン。もちろんモデルは太陽にほえろのジーパンだ。
スマホもSNSもない、通信手段は電話と手紙の時代。チノパン刑事は不便を感じながら事件を追い、解決に導いていく。
時代考証も大変だっただろうと思う。今はもうない細々としたアイテムがところどころに使われ、昭和生まれの読者は懐かしく感じるだろう。
昭和の時代は良かったという言葉をよく聞く。とにかく自由だった。今なら“不適切”な事柄が大手を振って行われていた。
公害に塗れ、どこでもタバコを平気で吸う時代だ。この作品でも、タバコを吸う場面が随所に出てくる。
ストーリーはミステリー仕立てで、ヤクザの抗争から世界へと壮大なスケールに発展して行く。
ストーリーとノスタルジーを楽しめる大作です。是非読んでみてください!