平成生まれの作者が昭和愛を込めて書いた昭和の刑事モノ。
昭和の刑事モノといえば、絶対忘れられないのはもちろんテレビドラマ“太陽にほえろ”だろう。
ジーパン、テキサス、山さん、デンカ‥‥このドラマから、刑事たちが仲間をニックネームで呼び合うネタが数々のコントで取り入れられた。ボスがブラインドを指で押し下げ外を眺めるシーンも。
この小説の主人公は、普通のOLが現代からタイムスリップして昭和の長身のデカとして生きる羽目になる。ニックネームはチノパン。もちろんモデルは太陽にほえろのジーパンだ。
スマホもSNSもない、通信手段は電話と手紙の時代。チノパン刑事は不便を感じながら事件を追い、解決に導いていく。
時代考証も大変だっただろうと思う。今はもうない細々としたアイテムがところどころに使われ、昭和生まれの読者は懐かしく感じるだろう。
昭和の時代は良かったという言葉をよく聞く。とにかく自由だった。今なら“不適切”な事柄が大手を振って行われていた。
公害に塗れ、どこでもタバコを平気で吸う時代だ。この作品でも、タバコを吸う場面が随所に出てくる。
ストーリーはミステリー仕立てで、ヤクザの抗争から世界へと壮大なスケールに発展して行く。
ストーリーとノスタルジーを楽しめる大作です。是非読んでみてください!
物語の最後に、“この作品における人物、事件その他の設定は、すべてフィクションであります“とありますが、それが信じられないほどにリアリティのある物語でした。
骨太の昭和がそこにあります。
スマホも無い時代。
デジタルツーカーだってまだ無い。
ペットボトルでお茶もまだ売ってない時代。
けれど、人は変わらず、生きていて。
暮らしがあって、犯罪もある。
そもそも、いつから刑事ドラマはスタイリッシュになったのか・・・、あぶないやつらの頃から。いつからサイコになったのか・・・沙粧妙○あたりから。いつから権力と機構的構造にすり潰されるサラリーマンになったのか・・・踊る捜査をする人たちあたりから。
でも本来、刑事ドラマとは、こんな、ハードボイルドなお兄さんとおじさんが体を張ったドラマだったと思い出させてくれました。
そして、どこか影のある、キーマンとしての美しい女性の悲哀・・・。
彼女の人生に寄り添うデカ・・・。
硬派です。
そしてこれ、令和女子が転生モノなんですよ・・・。
昭和のデカに、令和女子が?!
あの荒削りの時代に、だだだ、大丈夫か?!
なんてしんぱいになりますが。
彼女・・・彼は立派なデカ魂を持ったデカとして成長して行きます。
私はネッ○フリックスでドラマを見たのかもしれない・・・・。
そんな満足感ある物語です。
是非ご一読くださいませ。
縞間かおるさんの描く、昭和刑事ドラマです。すごい力作です。縞間さん、こんなの書けるんですねえ。普段の作品とのギャップにびっくりです。
ストーリーは、令和の現代に新宿の高層ビルに勤務する由美が、通勤途中に事故に遭い、1973年の新宿警察に転生。グラサンと長髪、長身のあのデカ「チノパン」として生まれ変わります。そう、ドラマ、大腸にほえろ! じゃなかった、太陽にほえろ! の世界です。キャストも総登場。タニさん(山さん)、ムリさん(ゴリさん?)、プリンス(殿下?)、渡さん(これは軍団長か? そのまんまだが。。)。
そして、チノパンは、美女ケイコさんの絡んだ、竜神会と十川組の抗争事件に巻き込まれていきます。謎解きはとても本格的です。首相官邸や某大国の秘密まで巻き込んだ壮大なトリックが最後に明かされます。読み応えがあります。
てか、これ、異世界転生する意味あんのかしら? そもそも帰ってこようと思ってないしw という気がしないでもないですが、令和と昭和のギャップに戸惑うチノパンの反応が楽しいですから、そこに意義があると言えるでしょう。十円玉山ほど積んで公衆電話かけたりw
登場人物が多いうえ、トリックはかなり複雑ですから、一気読みできるときに、1時間くらいかけて読むのがお勧めです。刑事ものがお好きな方は是非どうぞ!