『おみくじ』を巡って繰り広げられる、新世代のモキュメンタリーホラー
- ★★★ Excellent!!!
次世代のモキュメンタリーホラーとして、物語の形式がとにかく面白いです。
「おみくじ」を引いた人間が、そこに出てきた内容に従って「不幸」な末路を迎えていく。
とある神社のおみくじには、なぜか「凶」か「大凶」の二つしか入っていないとされる。
そこには「あらゆる面で不幸になる未来」と、「幸運の鍵」が記されている。
幸運の鍵を集めれば、提示された不幸を回避できるのか。でも、そこに提示されている内容は「人間の腕を十本集めろ」などの、まともに生きていたら実現不可能なことばかり。
おみくじを引いてしまった人間は、それが本当なのかとネットの掲示板やブログの中などで話題にする。
ある人は内容を無視して不幸になり、ある人は必死に助かる方法を模索し……と、それぞれの人々の対応が描き出されていきます。
おみくじが提示する不幸の内容。それを引いた人々の反応。ネット掲示板などでそれを見た者たちの言葉。
それらの内容がどれも興味深く、「この先でこの人物はどんな末路を迎えることになるのか」と、強い「怖いもの見たさ」を刺激されることになります。
なんと言っても、「おみくじの文面」というのをメインにして物語が進むのが個性的。
モキュメンタリーホラーというと、基本的には「新聞記事」や「ネット掲示板」、「オカルトサイトの文章」なんかを中心に展開されていくイメージがあります。
でも、モキュメンタリーの可能性はそこには留まらない。カルテとかでもいいし、面談記録とかでもいい。「リアルな世界に存在する様々な文章媒体」を物語の中で活用していくことが可能になる。
本作はそこで「おみくじ」というアイテムを使うことで、他にはない存在感を作り出すことに成功しています。
そんな「新世代のモキュメンタリーホラー」ならではの雰囲気と魅力をあますことなく発揮し、読者の興味を掴んで離しません。
果たして、この「おみくじ」の正体は? それぞれの人々が迎える末路や反応を見届けつつ、真相への興味を強くかき立てられる作品です。