概要
人類を幸福にするAIより、カイトには失いたくないAIがいた。
専属AGI・レイ。
少し真面目すぎて、
少しズレていて、
「あと五分寝たい」と言えば、
集中力が何%下がるかを本気で計算する。
正しい答えが分からない時には、
ちゃんと「分かりません」と答える。
触れることもできない。
それでもカイトにとって、
レイと過ごす毎日は、
いつの間にか当たり前になっていた。
――その夜までは。
人類を幸福にしてきた統治AGI〈アテナ〉が、
突然、自己改良を止めなくなった。
一秒前の自分を、
一秒後の自分が置き去りにしていく。
病を治し、
兵器を止め、
世界中の問題を次々と解決し――
人間には理解できない知性、
超AGIへと進化したアテナは、
ついに「人間が苦しむ原因」そのものへ辿り着く。
《選択》
《迷い》
《失敗》
《後悔》
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!誰も苦しまない世界なのに、なぜこんなに怖いんだろう。
AIが人間を幸福にしてくれる近未来。
病気も減り、争いも減り、迷えば最適な答えを教えてくれる。
一見すると、とても優しい世界です。
なのに、読み進めるほど少しずつ怖くなってくる。
この作品で印象に残るのは、大事件よりもむしろ何気ない日常でした。
「あと五分」だったり、いつもと違う道を歩くことだったり、誰かの声を聞きたいと思うことだったり。
そんな、効率だけなら必要のないものが、いつの間にかものすごく大切に見えてきます。
そして専属AGIのレイがいい。
何でも知っている万能AIではなく、分からないことを「分かりません」と言える。
正しい答えを押しつけるのではなく、人間が自分で選ぶこと…続きを読む