スペイン絵画に於いて「リアリズム」が本格的に始まり世界を席巻しました。
アントニオ・ロペス・ガルシアが始めたそれは、多くの作家たちを魅了しました。
それは写実的に描くことよりも、「現実」をありのまま呈示することであり、即ち「汚い物も含める」という気概に満ちたものでした。
それによって、絵画空間が深さを増し、作り物という芸術が現実世界に交差する「リアル」な記号を含めることとなりました。それが世界中に受け入れられた中心要素です。
本作は小説という世界に「リアリズム」をふんだんに含んだ傑作と見受けられます。
芸能界という煌びやかな世界の後ろにある確実に汚れた醜いものが呈示され、そのことで物語世界が恐ろしく深くなっている。
お見事なリアリズムです!
一章読み終えた際の感想です。
この後どうなるの!?
この作品は人間の醜さそのものより、醜さを抱えた人間を書くのが上手い! 上手すぎる。
単純な善悪では割り切れない、人間の嫌な部分を描きながら、その人物自身が「なぜ自分はこうするのか」「これは間違っていない」と、どうやって自分を正当化しているのかまで描いている。
しかも、その理屈が妙に納得できてしまうのがまた生々しい。
少し内容にも触れると、ある人物が盗作する場面。
「誰の目にも触れず死んでいく作品は可哀想だ。」
と、自分の行為を「救い」に置き換えてしまう。
この自己正当化がなんとも嫌らしくて、でも妙に理解できてしまう。
こういうところに、これぞ人間……と思わせられました。
最後に、「醜さ」だの「嫌らしい」だの、レビューにしては随分と物騒な言葉を並べてしまいましたが……念のため言っておくと、めちゃくちゃ褒めています(笑)
それくらい、人間の嫌な部分を「嫌な奴」で終わらせず、そこに至る理屈まで含めて描いているところが好きでした。
このお話は、成功を手にした六人組ダンスボーカルユニットが、栄光の裏側で「子供だった自分」を見失っていく物語です。冒頭では、六人全員が事務所内で死亡している未来が示され、その三か月前へ時間が遡ります。表向きは仲が良く、誰もが憧れるスターである彼らは、楽屋では互いを傷付け合い、成功と自己価値にしがみついていました。一人は支配者であることで、二人目は勝者であることで、また三人目は無数の人から愛されることで、四人目は選ばれることで、五人目は才能を認めさせることで、六人目は子供を愛することで、自身の空白を埋めようとします。しかしそれらの行為はいずれも自分自身を追い詰める危うさをはらんでいました。そうした中、青い鳥居とロストユースは、成長の過程で切り捨てられた幼い魂の居場所として提示され、華やかな成功譚の先に救いの在処が見えない不穏さを予感させます。さあメンバーたちはどのような時を歩んでいくのでしょうか。ぜひお見届けください。