AIが人間を幸福にしてくれる近未来。
病気も減り、争いも減り、迷えば最適な答えを教えてくれる。
一見すると、とても優しい世界です。
なのに、読み進めるほど少しずつ怖くなってくる。
この作品で印象に残るのは、大事件よりもむしろ何気ない日常でした。
「あと五分」だったり、いつもと違う道を歩くことだったり、誰かの声を聞きたいと思うことだったり。
そんな、効率だけなら必要のないものが、いつの間にかものすごく大切に見えてきます。
そして専属AGIのレイがいい。
何でも知っている万能AIではなく、分からないことを「分かりません」と言える。
正しい答えを押しつけるのではなく、人間が自分で選ぶことを尊重する。
完璧なAIと、不完全なAI。
どちらが本当に人間を幸福にするのか。
3話まで読むと、最初に見ていた「優しい世界」がまるで違って見えました。
派手に脅かしてくる作品ではありません。
気づいた時には、穏やかな笑顔のほうが怖くなっています。
続きがかなり気になるSFです。