概要
槍を確かめた。あった。だからとりあえず持っている。
槍がうまいとは、穴を開けるのがうまいということだ。源氏の槍の名手・梶原景季は二十七になるまで穴のない人間を見たことがない。壇ノ浦の合戦、三度目に走ったとき、一拍だけ止まった。槍の先に、子供の顔があった。壇ノ浦の夜を、平家側と源氏側それぞれの視点から描いた連作短篇のうち、源氏の側の男の一夜。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!諸行無常の理を衝く。
これは作者の既出作【壇ノ浦の阿修羅】と
対を成す源平合戦の 一コマ を切り取った
あたかも禅問答の如き譚。
尤も、前作品が敗走する平家の若武者と
上官との禅問答であるとすれば、こちらは
勝者源氏の、と或る 父と子 の師事問答。
まだ幼い頃から槍を学び、戦さ場に出て
手柄を挙げる。
穴を開ける事が槍の仕事であり、又その
人に開く穴を見極めて落とすのが彼の
仕事でもある。
だがしかし、壇ノ浦の合戦のさ中にあって
一瞬、動きが止まる。
貫かんとする鋭い槍の先に 子供の顔 が。
それは戦に不慣れな若い歩兵でもあろうか。
彼は全く何事かも分からぬままに、
槍に貫かれて地に落ちる。呆気に取られ…続きを読む