高校生です。普段触れないタイプのお話で興味深く、最後まで楽しく読ませていただきました。
ただ、私と同じ「高校生」ではなく、「歴史学者」が元の人物であったのなら、戦争を避けることによって生じるリスクについても論じられていたら、より面白かったのではないかと愚考します。歴史学者であれば、例えばペーパー先生ことチェンバレンの宥和政策なども念頭に浮かぶのではないでしょうか。
戦争を避けようとする主人公の思想そのものは理解できますし、戦争の悲惨さを訴えることにも意義があると思います。しかし、それだけに、戦争を回避することにもまた別のリスクが存在するという側面にも触れてほしかったです。
全体を通して非常に興味深いお話だっただけに、さまざまな立場や主張それぞれの妥当性を描くというより、特定の主張が正しいものとして描かれ、それに沿う形で物語も展開しているように感じられた点が、少し残念でした。
素人の感想ではありますが、今後のお話も楽しみにしております。
令和から明治時代の五摂家の近衛篤麿の長男・高麿に転生した歴史学者が、よりよい世界を築くため、現代知識を用いて暗躍する歴史改変ファンタジーです。
主人公の高麿の父・近衛篤麿は、天皇陛下にも意見を言える大物政治家。そんな父親に助言を与えて陰から歴史改変に挑みます。
当時、国民病といわれていた脚気の原因をつきとめる。軍部の暴走を招いた憲法の欠点を修正する。寒冷地に適した米を奨励して飢饉を回避する。泥沼に陥る朝鮮半島政策から撤退し、経済発展の道を示す。戦争や病気で失われるはずだった数十万人の犠牲者を救い、日本に空前の好景気をもたらしながらも、救えなかった命に胸を痛める高麿の思いに心を打たれます。
やがて、青年へと成長した高麿は海外へと飛び出し、世界各地で起こる大虐殺の歴史を変えていく……。何故、第一次、第二次世界大戦は起きてしまったのか、パレスチナ問題はどうして起こったのか。現代にも繋がる近代史の物語に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
(「和風&歴史」4選/文=愛咲優詩)