概要
AIが浸透し切った息詰まるディストピアで、「合理化」「最適化」に中指を突き立て、人間性を取り戻そうとする。そんな、不器用な男の物語。
ーー西暦2077年。戦術の高度化とAIによる合理化で、フットボールはクラシック音楽の様な芸術と化していた。イングランド・プレミアリーグのNo.1ストライカー、シド・マクリーは順風満帆のキャリアを歩みながらも、その内面は深い虚無に閉ざされつつあった。
歓声の失われた、冷たいスタジアム。AIに依存し、感情を無くした親友。
やがて彼は「高度な戦術」や「AIの合理性」に背き、たった一人で革命を試みる。
全世界に対し、挑戦状を叩きつけた。
ーー旧世代のガラクタを愛する、物好きのバカ共へ。リーグの最終
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!AIが管理する穏やかで秩序ある理想世界、おかしいと感じるのは異常なのか
感情さえもAIによって抑制され、感情的になることなく誰もが平穏に暮らす理想世界。
それは狩猟本能に根ざしたスポーツでさえも例外ではなく……
カクヨムのおすすめだったので、天才サッカー選手がAI相手に無双する話かと期待して読み始めたのですが、最初に感じたのは「違和感」でした。
何と言うか、スポーツ物らしからぬ寒々しく無機質に淡々と進む物語に不安を感じたんです。
そのまま読み進めていると、しばらくしてストンと物語に入った気がしました。
「あ、主人公シドが感じていた違和感はこれか! これに反逆しようと思ったのか!」と。
それから気付いたらラストまで一気に読み終えていました。
人間が家畜のよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!スポーツの熱狂を取り戻せ! AIに抗うエースストライカーの孤独な反逆
スポーツへのAI活用が認められた未来。英国フットボール界のNo.1ストライカーであるシド・マクリーは、戦術AIに管理されたプレイに疑問を覚える。感情すら支配された世界で、「人間としての自由なプレイ」を取り戻すことを決意し、シドは世界へ挑戦状を叩きつける。
登場人物たちのむき出しの本能、感情の奔流、激しい情熱の嵐に圧倒されました。
最適化された未来のフットボールでは、どれほど華麗なゴールを決めても、観客も選手も感情を抑制され、何も感じない。ただ淡々と戦術AIの指示に従い、コートを走り、ボールを蹴るだけ。すべてが無機質な世界の中で、ひとり感情を解き放つシドだけが、灼熱のマグマのよう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!“最適化”が奪った歓喜を取り戻す。スポーツ×SFの快作
“感情のフラット化”というディストピアのリアリティ
勝利を重ねた先に待つのがフラットライン・シンドローム――感情が水平線になる病、という設定が刺さる。栄光の代償としての“空虚”が、AI社会の陰影をくっきりと浮かび上がらせる。
AIが選ぶ“正しさ”に、人間の“衝動”で楔を打ち込む物語。戦術の数式、情動のアルゴリズム、都市の快適さ――それらが整然と並ぶほど、1点の“ノイズ”が美しく輝く。フットボールを知らなくても読めるし、戦術厨ほど唸る。『攻殻機動隊』的サイバネ感と現代サッカー分析のミクスチャーに、熱い反骨が通う、痛快な反最適化小説。読む価値、あります。