“最適化”が奪った歓喜を取り戻す。スポーツ×SFの快作

“感情のフラット化”というディストピアのリアリティ
勝利を重ねた先に待つのがフラットライン・シンドローム――感情が水平線になる病、という設定が刺さる。栄光の代償としての“空虚”が、AI社会の陰影をくっきりと浮かび上がらせる。

AIが選ぶ“正しさ”に、人間の“衝動”で楔を打ち込む物語。戦術の数式、情動のアルゴリズム、都市の快適さ――それらが整然と並ぶほど、1点の“ノイズ”が美しく輝く。フットボールを知らなくても読めるし、戦術厨ほど唸る。『攻殻機動隊』的サイバネ感と現代サッカー分析のミクスチャーに、熱い反骨が通う、痛快な反最適化小説。読む価値、あります。

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