ヘラという女~現代日本AKIBAのオタクをえぐる衝撃の問題作
- ★★★ Excellent!!!
あらゆる存在の相貌を変え、人々のアイデンティティーを奪う女、ヘラ。
ヘラはかねてより夫の浮気に心を乱すたび、神力を用いて罪なき者――ヘラクレスの侍女ガランティス然り――を人ならざるものに変えてきた。
夫が東方の日出づる国へたどり着いた時、事変は始まった。
ついに夫が執着するすべてに対し、ヘラは牙を剥き出す。彼女もまた執着の海で溺れたのだ。
ヘラの暴走が止まらぬように、夫の女への欲求、否、耽美なるものへの欲求もまたとどまることを知らない。ヘラは心の赴くまま、次々と他者を変質させていく。
二人の肥大する情念にAKIBA界隈も巻き込まれ、事態はイーオーの牝牛が45度の急勾配を転がり落ちるように激しく展開し――。
これは一人の女が刹那的に燃え盛る生き様をユーモラスに描いた物語。
……と、それだけで簡単に終わらないのが、筆者の持つ独特な味わいだ。
ギリシャ神話をモチーフにしながら、現代日本を舞台にしてその世相を映し出し、笑いの裏にしっかりと、日本から世界へ伝播する異質なカルチャーの本質を描いている。
そして最後には思わぬ隠し玉も。
猟奇的な犯行を重ねる異常犯罪者の心の変遷を追いながら、日本人の歴史ある変態性にも迫る異色作である。