ボケとツッコミ、そして一皿の料理。二人だけが分かるつながりの物語。

友を失ったF級のおっさんリューズと、食の楽しみも愛も知らずに生きてきたS級の少女シーラ。
二人はそれぞれの過去を背負いながら、少しずつ互いの人生を共有し、新しい道を共に歩み始める。
年齢も立場もかけ離れた凸凹コンビのボケとツッコミが冴える軽快な会話が心地よく、喪失という重いテーマにも温かみを加えている。

二人の旅路のスパイスとなっているのが、リューズがシーラのために作る料理だ。
普段は味を感じないシーラが、なぜかリューズの料理だけは「美味しい」と思う。
一方のリューズもまた、シーラに求められて料理を作ることで人とのつながりや生きる実感を取り戻していく。
恋愛とも家族愛とも言い切れない曖昧模糊とした二人の関係だが、料理を通して確かに絆は存在している。
料理系ファンタジーという流行りに乗っかりつつも、単なるギミックに留まらず、しっかり人間の物語に落とし込んでいるところに作者の力量を感じる。

なぜシーラはリューズの作ったものにだけ反応するのか。
彼女の生い立ちの秘密とは。
ダンジョン攻略の末に授かった「祝福」の正体、それは本当に祝福と呼べるものなのか。
物語の随所に散りばめられた謎はまだ多い。
笑えて、温かくて、少し不穏な物語の、これからの展開に期待している。

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