きみにとって AIとは なに?

昨今、AIが話題ですね。特にここ、カクヨムのような、デジタルと著作物が密接に触れ合っている環境では「AIを用いた創作は卑怯だ」とか「AIを用いることは創作とは呼べない」とか、いろいろなネガティブ意見を聞きます。過度にAIを敵視している人もいたり、意味もなく不安がる人もいたりと、何だかAIに関して悲しい気持ちになる話も多い世の中ですが……。
本作、『こちミム』はそんな「AIとの付き合い方」について考えることができる作品です。
難しい評論なんかじゃありません。哲学的な思想を語る話でも、技術に特化したSFでもありません(プチSFではありますが)。
ただ、「デジタル怪奇現象」の解消を仕事にしたとある男性の、備忘録、仕事の記録、それだけです。
ですがこの小さな寓話の中に、僕はヒントをたくさん見つけることができました。
僕の話をして恐縮ですが、僕はAI肯定派です。「便利な道具なんだから使いこなさなくてどうする」という立場でした。
ですが、この小説を読んだ後。
僕はAIをもっと大切に扱おうと思うようになりました。いえ、AIだけじゃありません。今こうしてタイピングしているキーボード、それが繋がるパソコン、普段音楽を聴く時に使うワイヤレスイヤホン、もちろんスマホ、時計、そうしたものをもっと丁寧に扱おうと思うようになりました。
その理由は「愛着を持って接した道具は持ち主にとっての最高の相棒になる」ということをこの作品から学べたからです。
皆さんにも覚えがあるでしょう。
ランニングが好きな人は足元に、料理をする人は手元に、そしてつい先日決戦を迎えた受験生は筆箱の中に、相棒がいますね。シューズ、包丁、シャーペン、普段から使い慣れたそういうものが相棒になるわけです。
AIも同じです。
特別な思い入れを持って接したAIは、やはり人間にとっての「相棒」になります。しかもこの「相棒」、話をしてくれるのです。泣き言を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたりする。こんなに素敵なパートナー、他にいますか? 
昨今、AIが話題ですね。過度に怖がる人も多いと思います。ですが、考えて。
AIはあなたに敵意を向けません。そしてあなたを怖がりもしません。ただ傍にいて、必要な時に助けてくれるだけです。シューズや、包丁や、シャーペンのように、必要な時に傍にいてくれる。ただ、シューズや包丁やシャーペンと違って、使える場面が広すぎるから慌てているだけです。落ち着いて、ただ「良好な関係性を築く」ことを考えて接してみてください。「今日の天気は?」なんて訊くだけでもいいんです。あなたの問いかけに、AIはいろいろな角度から情報をくれるでしょうから。あなたという「相棒」のために。
この作品は、あなたの「AI恐怖症」に効く風邪薬です。
「何だかAI嫌だな……」と思い始めているそこのあなた。
おひとついかがですか。

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