病名の存在しないご自身の難病と、作家を目指すようになった過程が丁寧に描かれている、読み応えのあるエッセイでした。
私も小説投稿の経験がありますが、そう簡単には結果が出ない世界で、落ち込む瞬間がたくさんあります。
それでも活動を続けている人達には、きっと並々ならぬ理由があるはずで、このエッセイにはその「理由」がこれ以上ないほど盛り込まれていました。
投稿者同士というのはある意味ライバルですが、それでも応援せずにはいられない作者の前向きさには、読んだこちらまで大きな勇気をもらえます。
難病の方、小説投稿者の方、あるいはちょっと前向きになりたい方。
そんな皆様にぜひ読んで欲しい作品です。
難病をお持ち……しかも病名なし? そんなことある? なんて思ったのですが、どうも世界的に見ても症例が少ない様子。そして病理的にも(僕は脳科学の勉強を大学でしていたので、この病気の病理が少し理解できました)あり得る話。となるとこれ、すごい大変な話だぞ……と思って読み進めると。
半生を語りつつ、夢、野望、仕事にその辛さ、やりたいこと、生きる目標、生きていくこと、前向きな話が溢れているんです。
読んでいるとなかなか辛くてネガティブな話になりそうなのに、暗くない。不思議です。
これは多分、作者さんが心理的タフネスがあるから、なのかなと思います。雨の日もお気に入りの傘をさして鼻唄を歌っている楽しさがある。
未来に向かって前向き。
この姿勢に、励まされます。
このエッセイは多分、日常のおかしさや、面白い視点を見つけたり、平和を感じること、そういうのには向いていません。
でも、自分が抱えた荷物を少し軽くしたかったり、あるいは重たい荷物を抱えてもなお、前に進みたい時。
そういう時に、優しく可笑しく、寄り添ってくれるエッセイです。
自分に悲観した夜に、いかがですか。