概要
【あらすじ】
鎌倉時代末期――元弘三年(1333年)、河内(かわち)・千早城に拠った楠木正成は、二百万の幕府軍を相手に戦っていた。正成と妻・久子は振り返る――どのようにして幕府の大軍と戦うようになったのかを。なぜ、そこまで命をかけて戦うのかを。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!構成作家の筆致
『ようへん』を第五部まで拝読しました。
最後のページをめくり終えてから、しばらく本を膝に置いたまま動けませんでした。
カクヨムでこんな歴史小説が読めるとは思いませんでした。
一言で表すなら、将監の最期が、頭から離れなかったからです。
この作品で私が最も注目したのは、「約束は守られない」という法則が物語全体の規律である点です。
序盤で描かれる闘犬の餌を巡る理不尽な所領没収や、六波羅との交渉が無意味に終わる経緯など。
これらの積み重ねがあるからこそ、終盤で阿蘇治時が助命を約束したとき、私は「でも、この世界ではきっと……」と身構えていました。
そして、その予感は的中します。
OO(ネタバ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かの戦国武将は、本当に悪党だったのか?
鎌倉幕府を崩壊へと追い込んだ武将といえば、誰を思い浮かべるでしょう?
鎌倉を攻め落とした新田義貞。
室町幕府を開いた足利尊氏。
そして、もう一人が楠木正成。
世に蔓延る悪党どもを相手に商売をし、あるいは反幕府として鎌倉幕府に争い、その戦い方にしても悪党そのもの。
しかし、楠木正成は本当はどういう人間だったのか。
そして彼は何のために戦い、なにを目指していたのか。
この物語では二百万という幕府の大軍と戦う楠木正成の等身大の姿がリアルに描かれています。
本当の悪党は誰か。ぜひ、その目で楠木正成という人物を、そして彼と共に戦った人々のストーリーを確かめていただきたいです。 - ★★★ Excellent!!!令和の新しい楠木正成、立つ!
『太平記』のヒーロー楠木正成と言えば、河内の土豪の出身、というのが、平成の楠木正成像なのではないでしょうか?
1991年放送のNHK大河ドラマ『太平記』で、武田鉄矢が演じた楠木正成のイメージは、その正成像を鮮明に印象づけたと言えるでしょう。
また、同ドラマでは、正成の妹(演:樋口可南子)を、猿楽一座の座長としてドラマ上で重要な役割を持たせて、能楽を完成させた観阿弥の母と位置づける事で、一層、楠木一族の土着性を印象づけていました。
鎌倉幕府の政治の枠に納まらぬ者たち、つまりは「悪党」です。
少なくとも、正成には、足利尊氏の様な鎌倉御家人というイメージは、薄いでしょう。
ところが、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!太平を夢見た、ひとりの男
鎌倉幕府末期。
河内の山中にひっそりと築かれた一城に、時代を変える男がいた。
楠木正成――幕府の被官にして、後に「悪党」と呼ばれるその男は、ただ家族を養い、病の兄を救うために辰砂を求めて山へ分け入った。
だがその一歩が、歴史の奔流を巻き起こしてゆく。
山人の姫との邂逅、辰砂を巡る流通の暗闘、渡辺党との駆け引きと血戦、そして六波羅との政治的取引。
正成が求めたのは、銭でも地位でもない。
ただ「大切なものを守るための力」だった。
それでも時代は容赦なく、彼を新たな戦場へと引きずり出す。
義理と打算が入り混じる京の政、無慈悲な命令、そして始まる「討伐」の連鎖。
幕府の犬か、逆臣か。それとも…続きを読む