『建武の冬 ~足利尊氏、京を落とし、楠木正成と戦う~』は、教科書では語りきれない“歴史の熱”と、それぞれの正義がぶつかる瞬間を、コンパクトかつ濃密に味わえる歴史ドラマです🏯⚔️
建武の新政が「累卵の危うき」にある中、足利尊氏が鎌倉から東海道を西進し、新田義貞を破って京を落とし、後醍醐天皇が比叡山へと逃れる――という、大きな歴史のうねりが、簡潔ながらも臨場感をもって描かれています🏇🌪️
特に印象的なのは、楠木正成の立ち位置の描き方です🛡️🌲
尊氏二十四万騎という圧倒的戦力を前にしても、なお戦略と胆力で活路を探ろうとする姿は、史実を知っていても胸が熱くなります💥🔥
また、尊氏を一方的な「悪役」にしない空気感も好ましいところです⚖️🤝
楠木正成と足利尊氏という“ライバル”が、それぞれの正義と事情を抱えながらぶつかるからこそ、戦いの場面に重みが生まれていると感じました📚✨
【累卵】(るいらん):積み重ねたたまご。危険なことのたとえ。〔史・范雎伝〕秦王之国ハ、於累卵ヨリ危シ(角川新字源 改訂新版より)
「カクヨムコンテスト11【短編】」の恒例企画、「お題フェス」。第二回のお題は「卵」という身近なもので、書き手の皆様は、生命の元や料理の素材など、様々な「卵」の作品をものしていらっしゃいます。
一方私の関心は、数々の歴史物を書いておられる四谷氏が、どんな「卵」の扱い方をされるのかにありました。
卵から生まれた、あるいは卵を産んだ歴史上の人物はあまり多くないと思いますので、なら食材としての卵を描くのか、ついに歴史グルメのジャンルに手を広げるのか、などと勝手に想像を膨らませ、四谷氏の発表される正解やいかにと心待ちにしておりましたところ、舞台は南北朝時代、描かれるのは楠木正成と足利尊氏の対決。
鎌倉幕府を倒した後、後醍醐天皇による建武の新政が始まります。しかしご存じのとおり、新体制は早々に破綻。つい最近まで武力闘争に明け暮れていた諸勢力が、ふたたび不穏な動きを見せており、建武政権はまさに累卵の危うきにあり、という状況です。
短編である本作は、挙兵した足利尊氏を迎え撃つ楠木正成の策に焦点を当てており、その種の策略が好きな向きにはたまらない一作となっています。
なお、現在四谷氏は、楠木正成を主人公とした歴史長編『窯変(ようへん)太平記』も連載中です。本作がお気に召した方、是非そちらもお読みください!