炎天下の静寂と、九年周期の「祟り」が織りなす極上の不穏

八月の刺すような陽光の下、故障したオープンカーを押す兄弟。その導入から漂う「場違いな異物感」が、篭目村の異質なまでの美しさをより一層際立たせています。

特に感銘を受けたのは、景観の統一性から村の維持管理の凄みを見抜く、兄・旺の冷静な視点です。「古くても使えるから凄い」という言葉には、単なるノスタルジーではない、この村が隠し持つ「執念」のようなものを感じて背筋が震えました。

山村には不釣り合いなメイド服の女性、そして九年ごとに繰り返されるという「五人の行方不明者」。四神相応の地に守られたこの村で、次に何が「欠ける」のか。緻密に配置された謎の数々と、じっとりと肌に張り付くような夏の不穏な空気に、すっかり魅了されてしまいました。

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