殺人鬼の正体は未来人?1000年後の終末を前に『小さな未来』を掴む物語
- ★★★ Excellent!!!
「進路希望調査」に世界征服と書く冷めた女子高生の日常が、美少年の転校生による「殺人」という名の「処刑」を目撃した瞬間、音を立てて崩れ去る。そのゾクりとするような導入の温度差に、一気に心を掴まれました。
物語は単なるサスペンスに留まらず、1000年後の終焉から過去を侵略する「最後の子供達」との地球規模の抗争へと加速します。自衛隊をも巻き込む壮絶な戦いの中で浮き彫りになるのは、1000年の時を隔てた二人の価値観の壁。世界の滅亡という運命は変えられなくても、愛する人と過ごす「小さな未来」だけは守り抜こうとする彼らの足掻きが、あまりに純粋で胸が締め付けられます。
冷笑的な独白と、血の通った決死の闘い。そのコントラストが描き出す、凄絶でいてどこか梅雨明けの空のように澄んだ読後感。日常のすぐ裏側に潜む「終末」を、ぜひその目で見届けてほしい傑作です!