百花繚乱のごとき多趣多積の物語集、ここに開花す

古くから続く、人との関わり合いのなかで生まれた草花の意味づけ。
そして花言葉にまつわる物語を集めた遠部右喬作のコレクション〝植物記〟

本作は、その植物記に含まれる千紫万紅の秋の草花の名を冠する作品集です。

各話は独立しておりますので、どのお話から読んでも宜しいようです。
以下に簡単なあらすじを揚げます。

第一話 女郎花・男郎花

花の化身の男女の物語。
女の見つけた光る粒の正体、それに関わる結末とは。

 第二話 菊 

会社にまつわる奇譚。
神棚に菊が供えられているのを見てしまった主人公に告げられた社内の伝承。そして主人公の決心を描く。

 第三話 柊 

不思議なものの見える少女の問題を解決する精霊のような存在、柊さん。
少女だけに視える柊さんとは何なのか。果たしてふたりの関係の行方は。


これら三作品は、いずれも素晴らしく、十分な読後感が得られることと思われます。
ホラージャンルですが、どちらかといえばファンタジーの色合いが強く、どなたも気負わずに物語を堪能できる事でしょう。

秋の季節に秋の花に因む物語を読むこと。
それは趣ある豊かな読書体験となることでしょう。
この紹介文が、皆様の実り多き読書への一助となれれば幸いです。

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