時代を越えて出逢う、明治あやかし喫茶の恋物語
- ★★★ Excellent!!!
明治という、どこか儚くて美しい時代。その空気の中に、異国の風や妖たちのあたたかな気配がやさしく溶け込んでいる――そんな世界を舞台にした物語が、ここにはあります。
璃玖と蘭、それぞれ孤独を抱えながらも出会い、「契約結婚」という形から静かに愛を育んでいく姿に、読んでいて何度も胸がじんわりと温かくなりました。スイーツや珈琲、夏祭りの浴衣姿……そんな日々のひとこまが丁寧に描かれていて、どれも大切にしたくなる場面ばかりです。 人と妖、異国と日本――違いを越えて心を通わせていく彼らを見ていると、ほんの少し世界が優しくなったような気がします。
そして、あの奇跡の涙や、名前を呼ぶラストの言葉には、静かだけれど確かな衝撃と余韻がありました。まるで喫茶蘭花で一杯の珈琲を飲み終えた後のように、心にほっとする寂しさが残ります。
ふたりの行く末を、どうかあなたの目でも見届けてあげてください。