この理路整然としたロジックの数々。とても読んでいて心地よい!

 とにかく推理の楽しさがふんだんに味わえる作品でした。

 主人公の髙﨑が学校へ行った直後、御山御影という生徒から「ポーチ」の状態を手掛かりに、「自分がどういう風に学校まで来たのか」という事実を言い当てられます。

 この過程がまさに「ホームズ」を連想させられ、推理小説ファンならニヤリとさせられました。
 浮かんでくるいくつかの可能性。それらを断片情報から削除していき、最終的に正解へ辿り着く。それにひたすら「なるほど」と頷かされ、綺麗に着地する論理に頬が緩みます。

 そんなスタートで始まった本作。今度はトイレに「謎の答案」が置かれるという事態が起こります。
 『グロタンディーク素数』なるものの話も出て、一つ数学の知識もつくのも嬉しいところ。

 そうして解かれていく真実。
 情報としての「未知」と「既知」。これは人の行動に大きく影響を与える。行動パターンの数々から、それらを割り出していく推理がまたとても綺麗でした。

 多段階で見えてくる推理と真相。理路整然としたロジックはやはり読んでいて心地よいと、改めて実感させられました。