地球最後の日。それを穏やかに迎えるには?

 読み進めるごとに、じわじわと印象が変わって行きました。

 物語はとあるラジオ放送という形で展開していきます。
 「スマイル葬儀社」が運営する高木夢子のハッピー・ハッピー・サンデー。
 
 この放送によると、地球は「今日」を最後にして滅ぶことがわかっている。でも、世の中の人々はそれでも「普段通り」の日常を送り、その運命を受け入れてきたらしいことが伝わってきます。

 こういう終末もアリかも。あくまでも穏やかに。パニックに陥ることなく運命を受け入れる。

 ……かと思って読んでいたら、なんだか不穏な方向に。

 たしかに穏やかさを求めて入る。そして、運命も受け入れてはいる。
 でも、そんな風に「日常」が続いているからこそ、「今日が最後」だからこそ、やっぱり心の中に去来するものがある。

 真に穏やかであるために。悔いなく最後を迎えるために。そのために必要なものが提案されます。

 たしかにこれは、ありうるかもしれないと思いました。暴徒化するようなことも無い代わりに、やっぱり静かに噴出するものは存在する。
 
 ある種の人間の本質が「終末」という形で描き出された、ブラックな結末がとても面白かったです。