チョーカーが刻む紅――肉と運命が喰らい合う

濡れた路上に泥と血の匂いが混じる夜。
目覚めれば、そこは見知らぬ世界、見知らぬ肉体の中。
豪奢な育ちと「壊れた魂」を持つ男が辿り着いたのは、人身売買と暴力が支配する闇の舞台だった。

剣を振るえば、筋肉が勝手に応える。
戦いの記憶を刻まれた肉体、胸の奥で疼く殺人衝動、そして「預言者」を名乗る女。
一振りごとに現れる血の軌跡と快楽の余韻が、読者の心にも冷たい爪を立てる。

やがて、その男の手に渡る銀のチョーカー。
それは飾りではなく、深紅の紋様を刻む「何か」の始まり。
女神を語る預言者と、殺戮に酔う男。
ふたりの交錯が、異世界の暗い水面に波紋を広げていく

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