科学が解いた、人類という矛盾

「アダムとイヴの原罪」から「ダーウィンの進化論」へ――
人類の誕生をめぐる2つの神話と科学を、ユーモアと懐疑のまなざしで語るこのエッセイは、宗教と自然科学、さらには現代社会の在り方にまで及ぶ。

原罪は人類に「苦しみ」をもたらしたのか、それとも「文明」を授けたのか。
そして、「猿が人になった」のではなく、人は各地で独自に現れたのではないかという直感的な疑問は、科学にも一石を投じる。

月と地球と太陽。
万有引力に支配されながらも、絶妙な距離感を保つその三体関係を見つめる筆致は、まるで人類そのものの「進化」と「関係」の在り方を問いかけてくるようだ。

神話と物理、進化論とエッセイ、ロマンと理性。
対立する概念のあいだに「ユーモラスな哲学」を持ち込む本作は、現代の読者に「信じるとは何か」を問う一編となっている。

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