春の夜、嫌な予感とともに異世界の荒野へ放り出された平凡な会社員。手元にあるのは水筒と菓子だけ。名前すら思い出せなくなった彼は自らを「ボナス」と名付け、オマケの人生を歩み始めます。
本作の魅力は、主人公自身にチートがない点です。家庭菜園の知識で作物を見分け、道具がなければ原材料から作る。地味な試行錯誤が積み重なり、クレーターの水場が少しずつ「アジト」になっていく過程には、成長物語としての確かな手応えがあります。相棒のピンクのトカゲ「ぴんく」も愛嬌たっぷり。
一方で、序盤は火起こしや解体、コーヒー作りへの思索など描写が丁寧すぎて、テンポが緩む場面がありました。窮地をぴんくの力で切り抜ける展開もあり、主人公の工夫がもっと前に出る場面を見たいとも感じます。
とはいえ240話を超えてなお更新が続いているのは心強い限り。腰を据えてじっくり読みたい方におすすめです。