“凡庸”と呼ばれた少年の、静かで痛烈な反逆

 まるで運命の扉が軋みながら開いてゆく音が、ページの向こうから聞こえてくるようでした。

 第一部まで拝読して、まず心を掴まれたのは──“凡庸”と蔑まれてきたローダの中に、誰よりも強く息づいている、痛ましいほど真っ直ぐな意志でした。不器用ながらもそっと彼に寄り添うルシアの優しさが、戦場の苛烈さの中にほのかなぬくもりを灯します。

 そしてそのそばに寄り添う、ルシアの少し不器用で、けれど真心に満ちた優しさにも、深く惹かれました。

 剣と剣が交わり、空を舞う精霊術が飛び交う激しい戦いのさなかにも、不意にこぼれる人の温もり。だからこそ、ローダが言った「護れなかった」ではなく「半分は護れた」という言葉は、焼け跡に咲いた一輪の花のように、心に静かに沁み入りました。

 マーダの冷酷な神性、フォウの迷い、そしてガロウの地を踏みしめる誠実さ──誰もが命を生きていると感じさせる濃密な描写に、ただただ惹き込まれていきます。

続く“最悪の再会”が、どんな扉を開くのか──静かに見届けたくなる作品です。

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