知らない昭和が、なぜか懐かしい——昭和×ダンジョンの新境地
- ★★★ Excellent!!!
焼け野原の昭和に放り込まれるのに、この物語は不思議と怖すぎない。先がまったく読めないのに、なぜか安心して身を委ねられるのは、物語全体をやさしく包み込む温度があるからだと思います。
予想外の出来事や奇妙な人物が次々と現れても、文章の行間から滲むあたたかさと絶妙な間合いが、読者の心をふっと緩めてくれる。「どうなってしまうんだろう」と胸を高鳴らせながらも、言葉の一つひとつに信頼感があるから、ページをめくる手が止まらない。気づけば主人公と一緒に“知らない昭和”をさまよいながら、なぜか懐かしさまで感じてしまうのが不思議です。
ハードな世界観が苦手な人でも、人情や群像劇が好きな人、歴史×ファンタジーに惹かれる人にはぜひ勧めたい一作。木山喬鳥先生の“読ませる力”を、存分に味わえる物語です。