失敗も努力も、全部“徳”に変わる物語

 読み終えてまず残るのは、「失敗しても、ここにいていい」とそっと言われたような安心感でした。読んでいるうちに二三夫の情けなくも全力な姿がじわじわ好きになって、うまくいかなくても怒ってくれる師匠や飴をくれる人がいる幸せが、胸に沁みてきました。異世界なのにどこか懐かしくて、笑える失敗と人情にほっとさせられます。

 鹿野師匠と喜古師匠、それぞれの愛ある“喝”と“優しさ”、そして小武との絶妙な関係が、笑いと共に心に沁みてきます。失敗を恥じるのではなく、「誰かのために恥をかける勇気」が“徳”になるという発想は、高校生はもちろん、毎日がうまくいかなくて落ち込んでいるすべての人に響くはず。

 失敗が怖い人、努力が報われないと感じている人、温かい説教とユーモアが好きな読者に特におすすめです。