『分かったつもり』を問い直すノンフィクション

 読んでいて、胸の奥を指でそっと押され続けるような感覚がありました。
この作品は「痛み」を叫ばないのに、静かに、執拗に問いかけてきます。
分かってもらえなかった側の怒りや虚しさが、感情論ではなく言葉の積み重ねで描かれていて、だからこそ重い。誰かの苦しみを「理解したつもり」で通り過ぎてきた自分に、思わず立ち止まらされます。

 目に見えない不調、説明できない生きづらさを抱えた人。
他人の痛みが分からないことに、うっすら罪悪感を持ったことのある人。
静かに深く考えたい読者に、強くすすめたい一作です。

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