幻庭-神隠しの庭-

週刊誌記者・冴木瑞月（30）は、20年前に一家離散した故郷・宮城県栗原に、ある取材で足を踏み入れる。幼い妹・千波と過ごした日々、そして突然すべてが崩壊した「あの日」の記憶が、忘れかけていた過去を呼び覚ます。

2年前、瑞月が追っていたひとつの疑惑記事は圧力によって握り潰された。
だが、偶然目の前に現れた「あの男」の姿をきっかけに、かつて父・冴木良介が命を賭して追いかけた、もうひとつの疑惑と、やがてひとつに繋がっていく。

舞台は、東北の寒村に伝わる”神隠し”の伝承と、国家プロジェクトによる新薬開発。その裏で進行していた人体実験まがいの治験と、闇に葬られた家族の記憶。
封印された過去を追う瑞月の前に、やがて”消えた妹”の真実が立ちはだかる——