あるい生み出すのか?
責任からの逃避、隠蔽、自己保身、ただの冗談、笑い話etcetc
と、嘘が生まれる理由は星の数だけ存在する。
ウソはいけないことか?
嘘も方便とある。
ただ嘘偽りなくという言葉もある。
このご時世、真実より嘘のほうが食いつきが良いのは事実。
かといって、嘘は安価で作れるも、代価は決して安くはない。
この作品の主軸となる嘘がまさにそれだ。
何故、呪われたのか、何故、呪いと嘘に繋がりがあるのか。
何故、その嘘で人間が死ぬのか!
泥沼に足を踏み入れたから、足が泥で汚れたように、呪われるにも理由があり因果がある。
その泥沼が、人間誰しも内に抱き、当たり前のように、あるいは無意識に行っているものだから恐ろしい。
まあ恐ろしいのは、ジリジリと背筋に滲み出る文体でもある。
ここで強いて嘘を広げぬ手はひとつだけ。
沈黙は金。
ウソは口から言わなきゃウソにならない。
王様の耳はロバの耳のように、黙せずいられぬこともあるが。
序盤からのツカミが良くて、どんどん先が気になってならなくなる作品でした。
「とりあえず1、2話だけ読んでみよう」と思ってページを開いたら、気が付いたら一挙に最新話まで読まずにいられない。読者をそんな状態にしてくれる構成が素晴らしいです。
「スミオさん」、願い事をした人間のもとに現れるという怪異。
その話を聞いた直後、大西遥香は不穏な影に付きまとわれるようになる。
噂に出てくる「条件」を踏んでいないのになぜ? 不安に駆られた彼女は「霊視探偵」とされる折原たちに相談に向かうことに。
怪異が現れるのは一人になった時、などの条件も見え、どうにかして安全を確保しつつ怪異の正体を探ろうとしていきます。
その果てで見えてくる答え。「現代」ならではの感覚で、世の中の人々が無意識に享受しているもの。そして冒頭段階で遥香たちも知らずに似た条件を踏んでいたとわかる。
怪異の発生。それを論理的に突き詰め、ミステリータッチで正体に迫っていく展開がなんといっても面白い。
そして見える現象や社会、人間というものの業。そんなテーマ性に満ちた中枢のイメージと、ハラハラドキドキの展開の先でカタルシスを与えてくれる、ホラーエンターテインメントな楽しさに満ちた一作でした。
一人の女性が喫茶店で若者たちの話しに耳を傾けていると、動画配信者らしきグループが「スミオさん」という怪談話を始めた。願いに対価を与えれば、その願いを叶えてくれるという。
それから数日後、この女性の周りで不可解な現象が起こり始める。黒い人影、勝手に開く窓、誰かの気配。ただ噂に聞いただけのスミオさんだった。女性は何かを願ったわけでもないのに、スミオさんの標的になったらしい。女性は対価を払おうとするが効果がなく、縋る思いで霊視探偵に助けを求めた。その一方、霊視探偵の助手を務める主人公は雑誌記者に協力を要請するが、断られてばかりだった。
そしてスミオさんから逃れることに成功したと思いきや、女性の前に再びスミオさんが現れ謎の言葉を残す。さらに雑誌記者はスミオさんと、最近頻発している連続不審火事件との関係に気付くのだった。
スミオさんが残した謎の言葉。
そして地図から消えた町の存在。
消えない嘘と傷の歴史。
主人公たちは点と点をつなぎ合わせながら、スミオさんの正体に迫っていく。
果たして主人公と霊視探偵は、女性を守り切ることができるのか?
ホラーであり、ミステリーである一作だが、夜よりも明るい内に読むほうが良さそうだ。何故なら夜にこの作品を読むと、背中に視線を感じてしまうくらい恐ろしいからだ。
是非、ご一読ください。