【じゃれ本】文題『ちぎり』

◯じゃれ本：テーマ「温泉」

　ある日、亜希と俊のもとに、一通の手紙が届いた。
　可愛らしい封筒には、差出人はおろか、宛名も書かれていない。中の便箋にはただ、拙い子供の字でこう書かれていた。

『ぼくのかわりにくろたまごを食べてきてくれませんか』

　誰が、何のために書いたのか。なぜ、二人のもとに届いたのか。
　二人は手紙の謎を追い、箱根・大涌谷の地を目指した。

　＊＊＊

　『じゃれ本』――それは複数の書き手による小説リレー。
　書き手は物語を「途中まで」書く。次の書き手は、その文章を読んで続きを書く。
　ただし、読むことができるのは「直前の人が書いた文章」だけ。だから話が進むにつれて、すれ違いから作者すらも予想外の、奇抜でおかしな展開になっていく。
　物語の全貌は、完成するまでのお楽し…続きを読む