愛憎にまみれた後宮の闇にお転婆公主様が立ち向かう

皇帝の末娘、璃月。優しい母と兄の近くでのびのびと育った彼女は、愛憎塗れる女の園にありながら真っ直ぐな性格。一応表向きは公主として心優しいお淑やかなお姫様、しかし実際は隠れて日々槍の稽古に励むお転婆娘。
母方の一族が〈夢見〉という予知夢を見るような能力を持っていることもあり、この〈夢見〉の内容を解き明かすことを一つの軸に物語は進んでいきます。

〈夢見〉ははっきりと未来が映し出すわけではなく、何かを暗示する要素で構成されています。だからそれを紐解くことが必要になる。
そんな〈夢見〉にある日現れたのは不穏な兆し。
公主としてそこそこ自由に後宮を歩き回れる璃月は、周りの心配を余所にあちこち駆け回り謎解きのための情報を集めます。時には後宮の外にまで飛び出して、その事実を知る人達の肝を冷やすというやんちゃぶり。
でもやっぱり後宮は後宮、ドロッドロです。天真爛漫とも言える璃月を見ていると忘れがちですが、彼女が暴こうとしている後宮の闇は深い。そこには己の子を次の皇帝にするための執念だけでなく、生きるためにここに来ざるを得なかった人々の悲しみもある。
当然公主である璃月も絶対に安全な場所にいるわけではなく、彼女自身それを理解した上で危険に突っ込んでいきます。

そんな璃月を見守る母と兄、そして璃月に想いを寄せる兄の副官。陰謀に立ち向かう璃月の活躍だけでなく、この副官との恋愛(未満)模様もまた楽しい。

槍をぶん回すお転婆姫君は〈夢見〉の謎を解き明かし、未来を変えることができるのか。

是非ご一読ください。

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