うっわぁー、リアル!
こういう異世界の、冒険してない日常風景が垣間見える作品好きなんですよね!
しかも制度とか世の中の仕組みに関する設定にクローズアップされているというのがまた嬉しい。
そう、私は何もかっこいい冒険譚が読みたいんじゃないんです。
こういう異文化の風景が見たいんです。
そんなわけで本作のキーワードとなるのが、ファンタジーではお馴染みの身分証明書となる「ギルドカード」。
これに纏わる制度が色々あるみたいですが、制度の制定ばかりが先行してしまったのか、実務面での問題が色々とあり、現場で携わる全ての人が不満を抱く厄介な代物となってしまっているようです。
やっぱり身分証明になるものって、どこの世界も揉めるんですねぇ。
そんなゴタゴタした制度を痛烈に皮肉ったファンタジーリアリティな本作、是非ともお楽しみください。
テンポの良い会話劇と世界設定の細密さが絶妙に噛み合ったものすごく面白いストーリーです。
とくにギルドカードの制度疲労を、ユーモアと社会風刺を交えて描いています。特にでかい男と淡々としすぎている受付嬢の掛け合いは漫才のようにテンポが良く、受付嬢のひんやりさ加減は、クセになってしまいそうです。
この物語は間違いなくファンタジーな世界線なのに、妙に今の日本的な現実味があり、そのズレがこの物語をより面白くしているように私は感じます。
また、マナカード(これはもしかしたら日本で言うとこのマイナ◯バーカード?)導入の混乱や世代間ギャップ、宗教団体の反発など、この物語の中の世界の厚みは、非常に豊かです。
これはあくまでも物語であり、今の日本の状況や自分の状況とは全然違うのに、
気がついたら重ね合わせてしまう部分もたくさんあります。なので、自然と「この国で何が起きているのか」をもっと知りたくなってしまいます。
コミカルなのに社会問題までしっかり描かれていて、軽いタッチやテンポなのに、気がついたらいろいろ考えさせられてしまいます。
一言で言うととても面白いです。