主 戦 場 は 盤 上 で は な  い 

全4話のうちの大半が〝デコイ〟である。

ただ一つのアイデアのために。
ラストへ収斂させるために。

幾つもの文章を振りに用いる周到さと構成力。
読み進めるうちに落差を生じせしめるための硬質な文体。
卓越した企図に裏打ちされた演出。

すべては合致し最終話に驚異的な破砕力を読者にぶつける。

たとえ、寸毫も将棋を知らなくても楽しめる優れた娯楽小説。
それが本編である。

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