優しく静かで美しい、本当に素晴らしい作品

晩秋の北国を舞台にした、美しき怪談。

怪談と言えば怖さを以ておどろかされるのではないかと身構えてしまうものだが、時に最後まで読んで、美しい物語であったと気づくことがある。
本作はまさにそうで、中盤を過ぎる辺りまで、何か恐ろしいことが起こるのではないかと思っていた。
だが、違った。

主人公・菅原氏が感じた“良くない事”の正体。
そこから話の印象は一変する。

死を厭うはずの神域であるにも関わらず、ここの宮司は、寛容で、生き終えたものにすらも手を差し伸べる。
それは、祀られる神の寛容さへの敬意、そして、精一杯生きた者への敬意あってのものだろう。

優しく静かで美しい、本当に素晴らしい作品である。

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