水晶の子供たちが願った、たった一つの未来
- ★★★ Excellent!!!
この施設では、子供たちは『誰かのために死ぬ』ために育てられる。
透明な水晶を胸に埋め込まれ、
「臓器提供者」として暮らす少年Lと少女K。
名前以外を覚える必要はない。
友達はいらない。
それが、この施設の『ルール』だった。
けれど、雨の中で踊るKを見たとき、
Lの心臓が、初めて熱くなった。
恋と呼ぶには幼すぎる、でも確かな感情。
「来週、私たちの番みたいだよ」
死の順番を知ったKは、Lに囁く。
「一緒に逃げよう。天泣の丘へ」
そこは、たったひとつだけ『願いが叶う』といわれる場所。
監視の銃口。
水晶に仕込まれた遠隔の死。
絶望的な二人の逃避行が、
奇跡にたどり着いたその瞬間──
誰にも届かないはずだった願いが、
ほんの少しだけ、この世界を変えた。
これは、誰かの命のために奪われるはずだった命が、
『未来』を求めた、たったひとつの物語。