水晶の子供たちが願った、たった一つの未来

この施設では、子供たちは『誰かのために死ぬ』ために育てられる。

透明な水晶を胸に埋め込まれ、
「臓器提供者」として暮らす少年Lと少女K。

名前以外を覚える必要はない。
友達はいらない。
それが、この施設の『ルール』だった。

けれど、雨の中で踊るKを見たとき、
Lの心臓が、初めて熱くなった。
恋と呼ぶには幼すぎる、でも確かな感情。

「来週、私たちの番みたいだよ」

死の順番を知ったKは、Lに囁く。

「一緒に逃げよう。天泣の丘へ」

そこは、たったひとつだけ『願いが叶う』といわれる場所。

監視の銃口。
水晶に仕込まれた遠隔の死。

絶望的な二人の逃避行が、
奇跡にたどり着いたその瞬間──
誰にも届かないはずだった願いが、
ほんの少しだけ、この世界を変えた。

これは、誰かの命のために奪われるはずだった命が、
『未来』を求めた、たったひとつの物語。

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