刹那さま入門作。夏鳥の到来、テーマは「雨」
- ★★★ Excellent!!!
この作者さまは「アイカノ」と「すずなり」が代表作です
しかしいきなり長編は敷居が高いとするなら、短編「雨の約束」は入門作。
スリリングな設定と、逃避行、死の圧力を愛で乗り越えてゆくストーリーラインは、アイカノを小さくして全年齢対象ファンタジーにした感じ
今作は6月の自主企画「雨」をテーマにした作品。
自主企画では「雨乞い」「晴耕雨読(=部屋に籠もる)」などの雨の書き方が多く出揃いました。
けれども雨の解釈に「渡り鳥」を選んだのは、見当たらなかった気がします
アカショウビンは6月頃に渡ってきて8月頃には去る梅雨の鳥。本作で初めて知りました
雨は一年中降るけど、アカショウビンがいることで水無月(6月)まで季節感が絞られること。また「渡る」というのは決死の覚悟がいるのだと思います。施設を抜け出し、新天地を追い求めた二人の比喩としてはぴったりでした。
前作「春」に続き、どうにか自分だけの「雨」を見つけてやろうという執念を垣間見て感慨深くなります
1話にて、ドナーランドで目覚めてしまった初恋は、突き刺さるように切ない
そしてドナーとしての身の上で、渡り鳥にも命の尊さを感じてしまったがゆえの逆境も「雨の中渡る鳥」という背景と繋がって妙味でした
虹は七色ではないですね。まだ名付けられていない色が二人の心にあります