「生きることそのものが罪なのか――魔眼と魔術の闇」

死者の怨霊か、教師の善意か、あるいは連続殺人鬼の陰謀か。
「幽霊騒ぎ」から始まる一連の事件は、少年の罪悪感と少女の魔眼、そして魔術師社会の暗部を浮かび上がらせます。

前半は、妹の自殺に苦しむ涼介が「幽霊」に追われる怪異譚。
けれど真相は意外にも、彼を救おうとした教師の“歪んだ優しさ”だった――という皮肉な構造。
後半は一転して、無自覚に魔眼を暴発させてしまう唯梨の物語へ。
「魔術師狩り」と呼ばれた賞金首を倒したことから、彼女は逃亡と告白の狭間に追い込まれていきます。

サスペンスとしての緊張感、ダークファンタジーとしての異能バトルの迫力、そして「生きることそのものが罪なのか」という重い問い。
多面的な魅力が一気に押し寄せる、濃密な章立てでした。

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