魔術への推理、それは常識が通じない出鱈目な相手への挑戦

魔法がある世界観でのミステリーは、非常に成立させるのが難しいわけです。
なぜなら、我々の持つ常識的な前提知識が役に立たないことが、往々にしてあるからです。
その上で、それでも成立させる矛盾のなさを構築しなくてはならない。
実に難しいものです……。

しかし、全くの無理というわけでもないわけです。
蛇の道は蛇、と言わんばかりに、魔術犯罪への見事な推察を見せる主人公、その実力、その胆力、なかなかに底が見えません。
それなのに、その動機は驚くほど乙女。
突き動かす動力源は恋心だというのだから、なんとも無敵感を感じさせます。
……これちょっぴりヤンデレ入ってないか?

確かなものがない中で少しずつ確かなものを手繰り寄せていくような、そんな不思議な味わいの魔法ありミステリー、是非ともお試しいただければと思います。

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