概要
苛立ちを募らせる勇者の容姿は、深い夜のような黒髪に血のように赤い瞳、しかもかなり目付きが悪くて、とても勇者には見えない悪役面だった。そんな勇者が放った一言が魔王を揺さぶることになる。
これは魔王と勇者が思わぬ共通点を見つける物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!名前ひとつで、世界は平和になる?
最初は王道ファンタジーかと思って読み始めたのに、気づけば声を出して笑い、最後には妙な温かさまで胸に残っていました。この作品は「名前」という誰もが当たり前に持つものを、ここまで鮮やかな物語へ昇華した発想が本当に見事です。
特に、ある告白を境に二人の距離が一気に縮まる場面は、「もし肩書きではなく最初から本音で出会えていたら、この世界はもっと早く平和になっていたのでは」と想像が止まりませんでした。笑いは軽快なのに、その奥には先入観や思い込みを優しくほどく力がある一作でした。読後にはきっと、作品タイトルの意味を誰かと語りたくなるでしょう。
【レビューコンテスト応募】 - ★★★ Excellent!!!先入観が人生最大の敵。そんな皆様の集いが魔王エンジェル被害者の会です!
本作は勝手にレッテルを貼られる事が、いかに抗い難く、理不尽な暴力なのかを描く物語です。
いえいえ。悲劇ではありません。
喜劇なのです。
人間は、先入観と固定観念に塗れた生き物です。
誰も、他人の本質なんて見てはいません。
偏見も満載です。
例えば多くのファンタジーな物語では。
勇者は雄々しい正しき英雄。
魔王は禍々しい悪しき梟雄。
そう決めつけています。
でもほんとうに、そうなのでしょうか?
本作に登場するのは二人の人物。
外見や名前によって周囲から自分の性質や役割を決めつけられた者たちです。
他人の偏見に人生を翻弄される者たちです。
そんな二人が出会ってしまったことから、物語…続きを読む - ★★★ Excellent!!!~ 「名前」がつないだ、奇跡の停戦 ~
魔王討伐という王道の出だしから、まさかの「被害者の会」発足で幕を閉じるとは。読み終えてじんわりと笑顔になってしまいました。
この作品の核心は、名前という「自分では選べなかったもの」が人と人をつなぐ逆転の発想にあります。サタンという名の勇者と、エンジェルという名の魔王。どちらも親の勝手な思い込みで苦労させられ続けてきた。その苦労の重さが完全に一致した瞬間、何百年も続いた人間と魔族の溝が、剣一本交えることなく埋まってしまう。この構成の気持ちよさが見事でした。
二人の掛け合いのテンポも抜群で、魔王がヴェールを外す場面の緊張感と、直後の勇者の「いやいやいや」の脱力感の落差が絶妙です。シリアスな世界観…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最強の敵は魔王ではなく親からもらった『アレ』だった!
勇者と魔王が対峙する――。
そんな王道の幕開けなのに、読み始めてすぐ「これは普通の勇者譚じゃないぞ」と笑ってしまいました。
本作の魅力は、シリアスな世界観と絶妙なコメディの融合です。
魔王討伐という重々しい題材を扱いながらも、会話のテンポが非常に軽快で、気付けば最後まで一気に読んでいました。
特に好きだったのは、勇者と魔王の掛け合いです。
互いに相手を探りながら会話しているはずなのに、どこか噛み合わない。
それでいて妙に話が盛り上がっていく流れがとても面白く、何度も笑わせていただきました。
また、登場人物たちが抱えている“ある共通の悩み”も秀逸です。
本人たちは悪くないのに、ど…続きを読む