非常に緻密なキャラクター造形に、ただただ感服。
本作は、叙情的で耽美な文章表現で世界を紡ぎつつ、対となるかのように、戦闘では、映画のワンシーンのように鮮明でケレン味溢れる描写で魅せる一作となっております。
私は、偶然見つけた本作について、先に、作者様が「設定資料集」として、公開されている小説に目を通すことにしました。
そこでは、あらゆる設定に因果を持たせており、非常に情報密度の高い設計であることが書かれていました。
他者様の作り方など、あまり触れることのない情報であるため、非常に興奮しながら拝読しました。
具体的には、キャラクターの名前の1つをとっても、その由来には一文字ひともじに、意味があり、キャラクターの人生を縛り、本編での思想や言動のバックボーンとなって息づいていることの証左となっていました。
そして、本編は、すべてを語りすぎることなく、丁寧な筆致で進むため、文字が織りなす美しさだけでも、十二分に物語を牽引するフックとなっています。
作者様のテクニック面ばかりを掘り下げてしまいましたが、勿論、物語としても一級品です。
登場人物たちが抱く純粋な願いや他者への情愛が、過酷な運命によって歪められ、美しくも絶望的な決着へと向かっていくドラマ性の高さは、序盤から溢れていました。
この作品を呼んだ衝撃をすぐにリスペクトとして言語化せねば、と急ぎレビューを書いていますが、じっくりとしっとりと読み進めたい、そう向き合うべき作品と感じております。
残酷で美しいディストピア的な世界を舞台に、過酷な運命の中で壊れゆく人々の優しさと業を、鮮烈な異能バトルとともに耽美な筆致で描き出したダークファンタジー。
すでに多くの読者様の知る作品だとは思いますが、このレビューを期に、興味を持たれた方や、美しい文章表現が好きな方、ぜひ本作をお読みいただければと思います。
私の寝る前の読書タイムの楽しみがまた1つ増えました。
【レビューコンテスト応募】
自分が何者なのかわからないレイチェルが訪れた「喫茶 桜」。
そこでは、自分の知りたいことを強く願えば答えが返ってくるという噂がある。
不思議な感覚と共に店内に迎え入れられた彼女は、恐ろしくも悲しい「記憶」に触れることに……
美しく流れるような言葉の数々がおりなす物語は、読み進めるほどにぞくっとする闇に潜り込む感覚もあり、すぐに引き込まれました。
喫茶『桜』は辛い過去を抱えた人々の居場所でもあり、彼らの物語を知るほどに、どんどん一人一人が愛おしく感じるようになります。
気づくとどんどん読み進めている魅力的な物語。
優しいだけでなく残酷で辛い場面もその魅力を強化している気がします。
皆さまもこの物語にきっと引き込まれると思います。
コーヒーの香りが届いてくる穏やかな始まりは、すぐに美しい筆致によって狂気へと導かれ、気づけば独特の世界に身を置くことになる。
でもそれは決して居心地のわるいものではなく、むしろ人間が自然に抱く感情に溢れた、切なくも共感度の高い場所。
つらい過去を背負うゆえに補い合おうとする登場人物たちによって投げられる「なぜ」という疑問は、そのまま読書の楽しみとなって作用し、どんどん物語の世界へ引っ張ってくれます。
詩的な表現は心地よさをもたらすも、耽美的な世界だけにとどめない激しさ、圧倒的なまでに容赦のない残酷で鮮明な描写、漂う不気味な静けさ。
時間をかけてよく練り上げられたことが読み取れる物語は、魔女や陰陽師、式神などの存在によって、予測もつかない展開や場面が周到に用意されてあり、読み手を惹きつけてやまない強力な吸引力があります。
まだすべてを拝読したわけではありませんが(半分以下)、先が気にならずにはいられない懐の深い物語です。
挽かれた肉の海に浮かぶ桜の花弁、その残像が強く目に焼き付いているような作品でした。
美しいものと残酷なものが背中合わせに存在するこの世界の手触りが、字面から伝わってきます。
まずはじめに、時也の「か弱さ」の描写に、意図的に誤解させるような、正しい判断をさせない誘導がありました。
敬語を使い、機械音痴で、ドレスを着せられ連れ去られる姿に、私は完全に彼を「守られる側」だと思って読み進めていたからです。
だけど、ある場面で彼が覚醒したとき、その穏やかな外見の内に潜んでいた修羅が露わになり、彼に対する認識が覆されました。
部屋一つを血と肉の海に変える暴力性と、裏庭で紅茶を淹れる優しさが同一人物の中に同居しているというキャラクターの造形は素晴らしかったです。
また、私が深く納得したのは、「救済には代償が必要」というルールについてです。
ただ祈るだけでは救われない。綺麗なままでは守れない。 この事実から、彼らの平穏な朝食が、夜の殺戮の上に成り立っているという重みを感じました。
最後に、アリアが暴力を受けながらも一切抵抗せず、沈黙のまま身を差し出すあのシーンでは、言葉を超えた贖罪と愛を感じました。
業を背負いながらも光を求めるこの物語が、どこに進んでいくのか楽しみです。
いいねの交流をきっかけに、こちらの作品に触れました。
美しい桜の大樹の描写から「生まれ変わり」を感じさせる冒頭は、とても印象的で、どこか現実から切り離されたような不思議な世界観に引き込まれます。
ところが数話読み進めると、その美しさとは対照的に、鬼気迫る展開が怒涛のように続きます。
(やや生々しい描写もありますが)
「一体、何が起きたのか?」と読者を一気に釘付けにする場面があり、
何故?
何が起こった?
という疑問を強く抱かされる作品だと感じました。
その「何故」を理解したい、という欲求が、この物語を読み進める原動力になるのだと思います。
現在342話と非常にボリュームのある作品なので、僕が拝読した部分は、まだ物語全体から見れば序盤、あるいはエピローグにすぎないのかもしれません。
ただ、ここまで読んで感じたのは、
「因果律にも、さまざまな形があるのだな」ということでした。
この作品に描かれる因果律を理解することが、冒頭で提示される「何故?」を理解することにつながっていくのだろう、と。
その「何故」が腑に落ちる頃には、きっとこの物語に深く引き込まれている――
そんな予感を抱かせる作品だと思います。
この作品は、桜と血液をモチーフに、幻想的・耽美的な美しさを詩的に描いています。
語彙豊富に美しい詩のように、けれども分かりやすく情景を描く手腕が素晴らしいです。
◇◆◇◆◇
34話までの主な登場人物は
・イケメン陰陽師
・無口な美人魔女
・包帯の子ども姿の式神(イケメン陰陽師が使役している)
・転生者、男女各一人、計二人
舞台は和洋折衷の、現代的異世界
これだけ先に知っておくと、だいぶ見通しがいいと思います。
◇◆◇◆◇
登場人物は、それぞれ辛い過去を抱えていますが、そのぶんこの五人は大切にしあうようになります。
物語の舞台となる喫茶『桜』は、この五人にとって大切な場所です。軽く飯テロ気味の温かく美味しいご飯もいい雰囲気です。
大切な場所、大切な『家族』『主(あるじ)』『友』『仲間』ですから、それを守るべきときには残酷になります。
しかし、その残酷が実に美しいのです。
(例えが古いかもしれませんが、高橋葉介とか好きな人にはたまらないと思います)
私は読んでいてとても楽しめました。お勧めいたします。
(このレビューは、第34話を読み終えた時点で書いています)
私は「Sakura Requiem」の冒頭、ラシェル・カメレリスの物語が大好きです。
他の人になりたいという彼女の願いは、とてもシンプルで人間らしいものでした…しかし、それは呪いへと変わってしまいます。
自分の欲望が時に自分を縛るというこの考え方は、とても魅力的で、同時に詩的です。
夢と現実、希望と結果の間の緊張感が、ひとつひとつのシーンをとても引き込まれるものにしています。 🌸
> 「望むものには気をつけろ、手に入れてしまうかもしれない。」
この一言は静かな警告のように響きます。時に、私たちが最も望むものこそ、私たちを永遠に変えてしまうものなのです。