「金は100歳!
銀も100歳!
商店街も100年続けば立派なもんだよ〜!」
「あっはっはっは!」
「『シャタエル‼ シャッター商店街、まるごと異世界へいく。エルフのばあちゃんと異世界復興。』――長いタイトルだねぇ〜!」
「最近の若い子はタイトルで説明してくれるから親切だよ〜」
「でもねぇ、この作品、ただ異世界で騒ぐだけじゃないんだよ〜」
「そうそう。
シャッター閉まった商店街なんて、現実じゃみんな寂しく通り過ぎる場所だからねぇ〜」
「それを異世界へ連れてって、“もう一回店を開けよう”って話なんだよ〜」
「泣かせるじゃないか〜」
「あっはっはっは!」
「しかもエルフのばあちゃん!
若いエルフじゃない!
ちゃんと“ばあちゃん”!」
「長生きしてる分、人を見る目があるんだよねぇ〜」
「わたしたちも長生きしてるから分かるよ〜」
「金は100歳!」
「銀も100歳!」
「エルフは300歳かもしれないねぇ〜!」
「あっはっはっは!」
「派手なチートはないけどねぇ、
店を開けて、人が集まって、“おかえり”って言える場所を作る。
それが一番難しいんだよ〜」
「異世界なのに、なんだか昔の商店街の匂いがするんだよねぇ〜」
「ほっこりする作品だったよ〜」
「あっはっはっは!」
平和な日常を送っていた俺とおばあちゃんは、予期せぬ形で命の終わりを迎えた。
けれど、心に秘めた信仰と強い願いが通じ、(待ちに待った!)異世界転生のチャンスを手に入れた!
……ところが、おばあちゃんが金髪狐耳の美少女に転生しちまった⁉
えっ、この衝撃が、この奇妙な世界で何かできるんじゃないかという勇気を俺に与えてくれた。
俺はこの一番好きな場所を守りたい。
だから、目の前の危機を解決しなければならない。
これが、異世界での生存課題だ!
授かった加護とチートスキルを駆使して、俺たちだけの異世界生活大冒険を始めよう!
大型店舗に押しのけられ、店が閉じていく昔ながらの商店街。接客マニュアルがなくて店それぞれに違ったけど、みんな裏には歴史を背負っていて。あぁ、商店街はもう生き残れないのか……
かと思いきや、商店街が異世界で生き返ります! まさしく「転生」。
日本で商店街を加護してきたお狐様に守護され、若返ってはっちゃけた婆ちゃんと平凡さに悩むも律儀な青年が皆をまとめて(というより、担がれている神輿? それも日本っぽい)、周囲からお客様が集まってきます。
生きているといろいろあって、異世界ともなれば深刻さは想像を絶するほどになります。それでも。この商店街に来れば大丈夫。それぞれの店が個性を発揮していらした方を支えます。それと、ダジャレが多いのはコンサルタントが作るマニュアルには絶対に真似できない味わいです。
寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。千客万来!
誰が商店街まるごと転生すると思いますか(いいえ、思いません)。
と、つい呟きたくなる設定から始まる物語は、すでに発想勝ちのようで、実は中身にこそ商店街の店舗のごとく魅力がぎゅうぎゅうに詰まってます。
高度成長から時代の淘汰を経た昭和の香りが漂うのも、時代をまたいで生きてきた、たくましいおばあちゃんの存在があるからこそ。
最近のご老人は活動的でじつに若いと感じるものですが、若返った伊織おばあちゃんは気持ちが若く、なにより長く生きた人の言葉には説得力があります。
個人的にはあたたかい方言に惹かれ、そのぬくもりがいっそう異世界における現実性を付与している印象を受けました。
「みてみてん! ばあちゃん、尻尾もあるんばい!」
自分もおばあちゃんから言われてみたいものです。
読みながら誰の心にもある原風景が立ち上がる心地よさ。
喪失と再生が問われる今の時代に、さあみんなで読もうばい!という気持ちになるステキな作品です。