概要
末端まであったかくなれた方がいいじゃないか
デパートに年末のお歳暮を買いに来た。
ふと、偶然『赤いきつね』と『緑のたぬき』を見つける。
思い起こす。
苦学生だったころ『ヤマヤ蕎麦』がくれたうどん帖のことを。
あのときに感じた温かさが、小さな会社の専務となったいま、蘇る。
ふと、偶然『赤いきつね』と『緑のたぬき』を見つける。
思い起こす。
苦学生だったころ『ヤマヤ蕎麦』がくれたうどん帖のことを。
あのときに感じた温かさが、小さな会社の専務となったいま、蘇る。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!天ぷらのない緑のたぬきが、僕を卒業させた。
私は本当に緑のたぬきを年間三万円分くらい食べる人間です。週に何回もあのシャカシャカという音を聞いている。だからこの作品の冒頭で容器を振る描写が出た瞬間、指先の感触まで伝わってきた。
そして最後に三十万円分をお歳暮にすると聞いて、自分の十年分だと即座にわかった。あの量を一度に届けるという発想に、笑いながら胸を突かれた。
天ぷらも揚げもない、乾麺と粉末スープだけの袋。それが北大路魯山人の鮎のあらと重なる構造が美しい。文学が人生で役に立った瞬間が、カップ麺の残り物を食べる早朝だったという皮肉が、皮肉のまま温かい。
うどん帖に泣きそうになった。年末一括払い、払えなくても正月にまた新しい帖をくれる。…続きを読む